氷点

「氷点 三浦綾子 角川文庫」

 

三浦綾子を世に知らしめた代表小説。

誰もが持つであろう人間の腹黒さを露にしていく内容で、テーマは「原罪」

 

(ネタバレがあります)

自分の子供を殺した犯人の娘を育てることになる夫婦。

文章の中に何度も登場する言葉は「汝の敵を愛せよ」

実は夫婦は最初から犯人の子とわかって引き取るわけではなく、事実を知っていたのは旦那さんのみ。

妻の不貞を憎く思った亭主が我が子を殺した犯人の子供と知らせずに奥様を苦しめるために育てさせようとしたもの。

何年も何年も我が子のように大切に育てていたある日、主人の書いた手紙から事実を知ってしまう妻。

何の罪もなく素直に育った清い娘とは対照的に、何不自由なく育てられ、結婚後も苦労を知らない美しい母親が変貌していく様は恐ろしい。

塩狩峠」はこの後に発表されるのだが、この二作品は真逆と言えるかもしれない。

人間の欲望ってのは底知れないものなのか。

 

キリスト教信者である三浦綾子ならではのテーマであるが、やはり物語には思想や宗教、そして宗教絡みではなく経験からの悟りなどが根底にあるものの方がやはりぶれない作品にできあがるのかもしれない。

 

氷点(上) (角川文庫)

氷点(上) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)

氷点(下) (角川文庫)