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河合隼雄のカウンセリング入門

人文 思想

河合隼雄のカウンセリング入門 実技指導をとおして

1998年 創元社

 

この本は、臨床心理士という資格が認定された1988年から10年後に発売された本であるが、中身の大半を占めるカウンセリングにおいての『実技指導』の初出は昭和40年代初め。

昭和40年と言えば、河合がスイスのユング研究所で分析心理学を学び、日本に戻ったすぐのことである。

 

河合隼雄の本は20数年前に数冊読んだ記憶があるが、正直、心理学というものに最初惹かれるものはあまりなかったのは事実。

だが、この手法の良さについても昨今感じ入る部分があり、私の考えが変わりつつあるのも確かなのである。

 

それぞれの「派」によってもカウンセリングの方法によってもまた違いがあると思うのだが、主としてカウンセリングには「アドバイス」というものがない。

セラピストはただ「聞く」

クライアントの話を親身になって聞くという行為にすべてが集約される。

 

この本では、実際カウンセリングを学びながら、セラピスト役クライエント役を設け実践していくのだが、本当に話を聞くだけというのがいかに難しいことなのかがわかる。

人は話すとき相手の受け答えが十分でないと、話す気にならないのである。

相手の意見が聞けないと、ちょっと拍子抜けしてしまう。

知人や友人に 悩みを話し「気にしない方がいい」とか「そんな人間とは付き合わない方がいい」などと相手の意見を聞きながら自身の愚痴をならべたてる方がよほどすっきりするのである。

 

しかし、そんな愚痴で明日も生活を続けていける人は、カウンセリングなど必要としないだろう。

このSNSがはびこる文化、どこかで誰かが応えてくれるし、なんならひとりネットに向かって吐き続けることもできる。

が、それでも通常の生活を歩むのに不都合を免れないひとびとが利用していくのが、このカウンセリングというもののようだ。

 

この聞く、セラピストに聞いてもらうという行為によって、どのようなことが起き、どのように変調されていくのかはまた別の本の紹介時にでもしてみたいと思う。

河合隼雄のカウンセリング入門―実技指導をとおして

河合隼雄のカウンセリング入門―実技指導をとおして