自分の頭で考えよう

安部公房が生存していればノーベル賞受賞寸前であったという記事が昨日載っていた。

砂の女」を読んだときのあのむせ返るような砂とラストの粛然とした、しかし圧倒的な恐怖を思うとはなはだ納得してしまう話である。

 

年齢のせいにばかりしてはならないが、昨今どうも、いやますます批判がましい。

このままでは小うるさいババァになってしまう。

小うるさいとか小汚いとかはどうも半端で好きではない。

ならいっそ「うるさいババァ」とか「汚いババァ」になったほうがまだましか。

 

何事にも非難ばかりだからといって、自分だけがかわいいかと言ったらそれは違う。

芸術家のようにナルシシズム、自己愛が強いわけじゃない。

芸術家はたぶん、他所のことはどうでもいいんだろう。

そうでなければ追究できない。

ま、自身ではなく、他者を追究してしまうのが批判と言えば批判なのだが。

ならばそのエネルギーを自分に使ったほうが、世の平和なのかもしれない。

単純に他方に非ばかり向けるのは気分も悪いし、情勢も悪化するネット社会にも言えることだが、批判というのは「負」ばかりではないはず。

否定ばかりではなく、ならどうするかという独自の思考を育てるにはどうするか。

というわけで、

 

「自分のアタマで考えよう ちきりん」

 

おちゃらけ社会派 ちきりん と名のるブロガーさんの超人気ブログから生まれた本。

「知っている」と「考える」の比較、思考とはそんなものとは違いますよという序から始まって、思考のプロセスを分析。

多くのビジネス本がそうであるように、こちらの本も図やグラフで丁寧に説明がされている。

中でもわかりやすいのは縦と横を基本とした図、シンプルで見やすい。

知識整理、思考を分析する上ではとても良い。

世界経済に関した章はやはり専門分野でもあり、野口先生の歴史概観を縦横比較した表などは一目でよくわかる。

 

巻末に「これは著者が自分の頭で考えたことを書いています」と書かれている。

自分で考えれば稚拙になるが、偉大な先人や専門家から答えをもらってしまえば自分では考えなくなると、この姿勢はとても大事なことだと思う。

この部分はとても共感できる。

 

本の表題良し。

帯も無難。

装丁も白を基調としたシンプルな作りに気持ちが明るくなるようなオレンジを使用でこれも良し。

売れるだろう。

ものを考えていく力、方法を探る若い方には良い本でしょう。

そしてモノを考えられなくなったおっさん、いや、考えるのがいやになったおばさんにはどうだろう。

それはご本人にお任せするとして、思考の技術とは何事にも「疑問をもつこと」から始まるんじゃないかな。

 

というわけで、批判がましいおばさんの小言は収まったんだろうか。

年齢もそれぞれ、知識のレベルもそれぞれ、世の中にはそれぞれにあわせたニーズがある。

どこでヒット商品がでるかはわからない。

「こんなもの」と投げ捨ててしまう年寄りは古いのか知恵ものなのか。

 

ひとそれぞれ。

春は来ずに雪が降る。

 

冒頭の安部公房はどこいった?

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう