九月が永遠に続けば

なんの変哲も無いタイトルである。

まず普通なら手に取らない。

それに作者の名前が変わっている

沼田まほかる

なんなの、これ、名前なの?

 

ま、まほかる..........

 

なぜ、読む気になったかというと、帯に「第5回ホラーサスペンス大賞」とか「第1位」とか書いてあったからではなく、彼女の経歴が変だったから。

まず、若い頃主婦だったらしい。

ここまではいい。

そして坊主になったらしい。

ご実家がお寺さんだったらしく。

ちょいと気になり出すが、でもまだ許せる。

しかしこのあと彼女は知人と建設コンサルを立ち上げるが、10年で会社をたたむことになる。

 

あぁ、もう、なんだか読みたい。

 

しかし、読み始めた私は一気にまほかるの罠にはまっていく、というより、自らまほかるに突入していきたい気持ちになったというほうが正しい。

むしろ。

 

ストーリーは母子ふたりで暮らしていた彼女の元から大切な息子がある日消えてしまうというもの。

いろいろな人間関係が絡まってとてもここでは説明できないのだが(ネタバレになるし)なんだそうだったの?というような簡単なストーリーではない。

だが、ホラーサスペンスというものの、なんだか変な液体が出てきてわけわからん生物になりましたとか、目に見えないもの見てしまいましたーとかそんな内容ではなく、現実を現実として見据えたままで、人を硬直させてしまう何かがこの作家にはある。

いや、この作品にはある。

 

しかもこの作品が彼女のデビュー作。

読んでいてどこも読みにくい個所などはない。

このひとは「書ける」のだ。

 

まだ、別な作品を読んだわけではないが、でもなんとなく、小川洋子沼田まほかるにはがっかりさせられない気がする。

ずいぶんがっかりさせられた作家さんもいるが、ここは書かないでおこう。

私にだって良心はある。

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

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