死の泉

「死の泉 皆川博子

 

ナチスドイツの親衛隊SSが人口増加のため設置した出産施設レーベンスボルン。

ヒトラーは金髪碧眼の純血アーリアンを求め、未婚でも出産を奨励した。

多くの子供たちが誕生するこのレーベンスボルンは通常「生命の泉」と語られるが、これを「死の泉」と皆川博子は名付けた。

 

ここからはネタバレです。

表紙には「死の泉 皆川博子」とあるが、本を開いていくと

「ギュンター著 野上晶訳」とあります。

皆川さんオリジナルではないの?とますますわけがわからなくなる。

 

主人公マルガレーテは未婚のまま身ごもり、出産のためレーベンスボルンへ向かう。

看護士として多くの子供たちの世話をするマルガレーテだが、出産後施設の最高責任者であるクラウスからの求婚を受ける。

医師である博士が研究していたものは、不老。

 

ここでまず思い出されるのが浦沢直樹の「MONSTER」

ヨハンがいた施設、もちろんフィクションですが、この辺りからヒントを得ているのは確か。

確かチェコに関係した内容でしたが、レーベンスボルンではチェコ、ポーランドなどから子供の誘拐が行われたとあります。

(つらつらっと書いておりますが、神経はあまり平気ではありません)

 

小説に戻ります。

医師クラウスは様々な人体実験を行っていた。

中でも博士が求めたものは「声」

カストラート=去勢された男性の声 を彼はこよなく愛した。

 

双頭。

繋がったものの話といえばいろいろ思い出されるが、もともとついていたものはわたなべまさこの「ふたご座生まれ」

あとからつなげたものといえば江戸川乱歩の「孤島の鬼」でしたか。

それと綾辻行人館シリーズにもありました。

 

こちらのケースは後者になりますが、そのつなげかたはただつなげるわけではなさそうです。

なにせ目指すものが不老なのですから。

 

神話から始まり、人体実験、洞窟、古城、フェルメール(絵が出てくるんですよ)とさまざまに組み込まれたとっても分厚い本です。

交錯する登場人物たちの意識が官能的な酔いを誘うメタミステリ。

吉川英治文学賞受賞作。

 

今まで皆川博子を知らなかった自分が恐ろしい..........。

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)

死の泉

死の泉