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暗渠の宿

「暗渠の宿 西村賢太

この本はタイトルの「暗渠の宿」と「けがれなき酒のへど」の2作からなる。

「けがれなき酒のへど」はもうとにかく恋人が欲しくてどうしようもなくなった著者が、女を求めて彷徨う物語なのだが、これがもうおかしい。

いや、おかしいのだが笑えないのである。

そして「暗渠の宿」の方は後に恋人と呼べる女性を得、ともに生活を始める物語になっている。

2作品とも、気の短いどうやら乱暴な部分を持ち合わせる著者が、女性たちとの付き合いに、それでも気持ちを押さえながらいくさまは滑稽だが、よくわかる部分もある。

別にたいそうなことを希望するわけでもなく、ただひとりの恋人と呼べるものを得るのが、こんなにも難しいものなのかと作者は語る。

この著者の滑稽さと重なる部分で読ませてはいるが、もしかしたら誰しもそんなところで悩んでいるのかもしれない。

だから君のそういう部分が女性に嫌われるんだよと突っ込みを入れながら読んでいるのだが、人間付き合いというものはこれでなかなか難しい。

私小説とあるので、たぶんこの作家はこういう方なのだろう。

自分なら、たぶんとても付き合えないかもしれないが、昨今こんな作家がいただろうか。

いや、こんな男性がまだ日本に残っていたことに少々驚く。

しかしこんなことを書いたところで、何もわかんねぇくせにぐだぐだ言うなこのクソがぁと作者に言われそうで面白い。

暗渠の宿 (新潮文庫)

暗渠の宿 (新潮文庫)