読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

仮想儀礼

文庫落ちを本屋の棚でわしっと捕まえてから何ヶ月経っただろうか。

「仮想儀礼 篠田節子」は私の中でようやく終わりを迎えた。

つか、読み終わったのです。

 

篠田さんには以前「女たちのジハード」で楽しませていただいた。

今度手にした「仮想儀礼」も前半インチキ教祖の行いにところどころ大笑いしていた私なのだが。

 

都庁での成功と呼べるキャリアを捨てゲーム作家の道を目指した主人公正彦。

もろくも破れたその夢の先に新たなビジネスが誕生する。

それは、宗教。

神などまるで信じない教祖は「金」を得るため、様々な宗教からの寄せ集め、継ぎ接ぎだらけの教えを説き始める。

似非宗教家の心は置き去りにされたまま、膨らんでいく教団。

 

とにかく長い、長い小説です。

あたふたしながらもなんとなく宗教家に収まっていく主人公なのだが、金が、信者が膨らんでいくと同時に、自身の作った仮想儀礼に飲み込まれあらぬ方向へと巻き込まれていく。

幻想的な何かに引き摺られていくわけでもなく、あくまで現実的な中での出来事に余計恐怖を感じる。

心を捕われ変貌する信者たちの暴走。

コミカルな出だしからは、想像できない終決。

終盤の恐怖を通り過ぎた文字通りのラストは、静寂の中新たな狂気を誘う。

この先、このラストを迎えた小説の先の恐ろしさが垣間見える。

 

うへー、怖かった。

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)

仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)

仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)