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青い壺

私は有吉佐和子という作家の作品が好きだ。

彼女の作品をそれほど多くは読んでいないけれど、いや、ほとんど読んではいないのだけれど、彼女の作品は力強い。

今回手に取ったのはこの作品。

「青い壺」

 

すばらしい作家であった父を持つ地味な二代目陶芸家。

彼はその日自身でも驚くような青磁の壺を焼き上げる。

なじみの道具屋を妻が振り切り、その美しい青い壺は東京のデパートへ。

人びとの間を流れ流れていく壺。

 

読み始めは有吉さんの作品としては毒が少ない。

が、しかし、読み進むにつれ、その壺が人びとを渡っていくにつれ、様々な人間模様の展開とともに人間の汚さ、滑稽さなどが露呈していく。

 

壺が擬人化され壺がしゃべり始めるわけでもなく、その壺を持つと不幸になるというおどろおどろしいお話でもない。

ただただ壺が流れていくさま、その人間たちの暮らしを読者は壺とともにみていくことになる。

 

ちょっと思ったのですが、読んでいて少し思い出したのが橋田壽賀子の世界。

橋田さんはもしや、有吉作品を気にかけていた、と思いきや調べてみたら橋田さんの方が年上でした。

危ない危ない(笑)

そして有吉さんはテレビ出演の際、奇行がどうとか書かれているものもあるが、彼女のお嬢様があれはテレビ局から頼まれて行ったものですと最近明らかにされたようだ。

 

とにかく有吉さんは貧乏人から超セレブまで見事に書き分ける。

貧乏人はイヤミがなく、金持ちの苦労もさらりと書き上げる。

何やら様々な人間たちの暮らしを読んでいくと、子や孫に恵まれ、不自由のない人間の方が意外に文句が多いものなのかもしれないと思ってしまう。

 

壺が巡り巡ってある場所へとたどり着くのだが、最後の一文を作品を生み出す方達はどう思うのだろう。

非常に興味のある一文であった。

青い壺 (文春文庫)

青い壺 (文春文庫)