くだんのはは

『くだんのはは 小松左京』 1968年

 

ある都市伝説を基に小松左京氏が小説化したもの。

ここから先は完全なネタバレになるので、日本の怪奇小説のなかでも怖いといわれているこの作品を楽しみたい方はお読みになるのを控えていただきたい。

 

「くだん」というものをご存知だろうか。

くだん=件

身体が牛で頭が人間というものだが、戦後は身体が人間で頭が牛であるという説も流れた。

この生き物・・・もちろん妖怪だが、生まれるとすぐに凶事を(取り返しのつかないようなもののことであるが)知らせ、凶事が済むと死ぬと言われている。

まさに予言のため生まれるのだ。

 

都市伝説として有名なこの話だが、左京氏の小説は神戸を舞台に書かれている。

戦後家をなくした僕はとある旧家に預けられる。

そこでみたものとは・・・。

こんな小説がある・・と話に聞いたときにはおどろおどろしい内容を想像したのだが、読んでみるとなるほど悪くない小説だ。

戦後の混乱、荒れる人々の心、そして家にまつわる歴史。

それを受け入れて生きていく母親の愛情が悲しい。

 

いろいろな都市伝説、噂がある中、この件・・・くだんに関しては、

人魚伝説と並び興味のひかれるもののひとつなのだそうだ。

噂により限定される地域のひとびとにとっては迷惑な話なのだろうが・・・・・。

他に幻想小説がいくつか載っております。

くだんのはは (ハルキ文庫)

くだんのはは (ハルキ文庫)